勇気の証35mm


高校生カメラ小僧の時代、レンズは80mm-200mmにテレコン付けての撮影が多かった私ですが、Nikon NEW FM2を購入の際、スナップ撮影が中心となっていた私には望遠はそれほど必要なくなっていたこともありトキナーのAT-X28mm-70mm f2.8を組み合わせてパチパチ撮っていました。

少し経つとトキナーのズームは普段使いには少し大きく重く感じるようになり軽いレンズが欲しくなったのと、「基本に帰ろう」と思い50mmf1.4を着けてスナップ中心に撮影するようになりました。

基本に帰る、標準レンズ50mmは撮り方、工夫次第で「望遠のようにも広角のようにも表現できる」とか、雑誌とかでプロの先生たちが「私がどれか一本だけ撮影に持っていくとしたら迷わず50mm!」なんて記事とか読んでたので、なんか「通っぽい」などとその気になってしまって50mmを買ったように思います。いざ50mm1本で撮影しようと意気込んで撮影してみたものの、私の場合構えてファインダーを覗くと「あれ?結構近い・・・」と感じてそこから数歩下がる事が多くて「あれ?ちょっと使いづらい?これってホントに標準レンズ?」なんて思ったりするようになりました。50mmレンズは間違いなく標準レンズなのでしょうが、「そもそも標準レンズの基準ってなんだべ?」なんて考えるようになりました。それでトキナーのズームに戻して被写体からちょうど良い距離感で撮った時の焦点距離を確認したところ35㎜付近が一番多かった事が判りました。「もしかして自分にとっての標準レンズは35㎜かも」なんて思うようになりました。

更に35mmという焦点距離への想いが強くなったのは平和を愛した戦争写真家ロバート・キャパが焦点距離35mmを愛用していたという事でした。ロバート・キャパの実弟で同じく写真家のコーネル・キャパ氏が何かの対談で

「兄は35mmのレンズを使っていました。だから、かなり近づかないと兄のような気迫のこもった写真は撮れません。大きな勇気が必要でした。兄は、そういう男でした」とか言ってるのを読んで、またまたその気になってしまった私。35mmレンズを装着すれば私も勇気が出るかも!などと日頃ヘタレな私は何か勘違いしてしまい35mmレンズへの思いをより強くしていきました。でも、「焦点距離的にはすでに持っていた50mmと近いし、何万も出すほどの価値はあるのか?」と自問すること数ヶ月、天才アラーキー荒木経惟大先生もコニカヘキサーとか良く使っててそれに付いてたレンズが35mmf2だったと思い出しついに購入を決断しました。Aiニッコール35mmF2Sを着けて撮影に臨むとなんと快適なことかっっ❗ 被写体に向かってカメラを向けてファインダーを覗くとそこから前後に動くことは殆ど無く、直感的に撮影出来る距離感に感動を覚えるほどでした。50mmに比べて僅か15mmの違いしかない35mmでしたが、私にとっては数字以上に違いの分かるレンズでした。以来普段のスナップはもちろんのこと、息子・娘が写真を撮られるのが嫌になる思春期時期まで大活躍の日々でした。

完全に自己満足の世界ですが、フォーカスリングが人差し指に触れる部分の塗装が擦れて剥げる程使用したのは誇りです🎵  

子どもたちが大きくなるにつれて撮影の機会は激減し、カメラを使用する事は少なくなりましたが本気で撮影する時は今もフィルムです。  そんなフィルムも気がつけばとんでもない価格になって、おじさんが気軽に購入できる物ではなくなってしまい本気を出せる事はほとんどありません笑

リコーペンタックスからも新しくPENTAX17が出たことだし、フィルムカメラユーザーが増えてフィルムの消費量が増えてフィルムの値段が下がって欲しいものです。フィルムユーザー増えますように❗


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